イチゴのおいしさと豆知識

*イチゴのおいしさって?・・・

 あなたは、どういうイチゴがおいしいと感じますか?・・・と聞かれても、「イチゴってそんなに種類があるの?」とか、「イチゴはみんな同じでしょう。」と思う人が多いんじゃないでしょうか。
 もちろん好みもありますが、私は、甘味と酸味のバランスが良く新鮮である事と、さらに、欲を言えば、香りが良く、適度に柔らかくてジューシーである事だと思います。
 しかし、必ずしもそのようなイチゴは、数多く市場や店頭に出まわるわけではありません。なぜなら、イチゴが市場に流れる上で一番大事なのは、鮮度であり、果実が傷みにくく長持ちすることだからです。それには、ある程度、実や表皮の硬さが必要です。
 しかし私は、実が柔らかく扱いづらい種類であっても、食べておいしいと思えるイチゴは、作りたい!そして、イチゴが大好きな人たちに味わっていただきたいと考えるようになりました。そのきっかけは「あかねっ娘」というイチゴとの出会いでした。          

* 「女峰」から「あかねっ娘」へ・・・(当園ではあかねと呼んでいます。)

 私が「あかね」を作るようになるまで、「女峰」を 作っていました。 「女峰」は、九州の「とよのか」とともに長い間イチゴの市場で大きなシェアを占めていました。「女峰」は、味・色・形が良く、しかも、実が丈夫で日持ちが良いので扱いやすく、ケーキなどの加工用にも向いています。また、作っても比較的作りやすいので、トータルバランスで当時は優れた品種でした。しかし、若干、小玉が多いので、現在は大玉品種で味の良い「とちおとめ」が当地域の主流です。
 「あかね」は、愛知農業試験場で育種され、当初「愛知2号」と呼ばれていましたが、後に「あかねっ娘」と命名されました。「とよのか」や「アイベリー」などの血を受け継いだ、大玉で酸味が少なく甘いイチゴです。独特の甘い香りとジューシーな食感が素晴らしく、そのまま何もつけずに食べるのが、一番美味しいです。甘いといっても、糖度は「女峰」とほとんど変わりません。甘さは、酸味等とのバランスから感じられるものだと思います。
 欠点としては、やや色が淡く、果実が柔らかいので若干痛みやすいことと、多収性でないので作柄が安定しにくいことでしょう。中でも、実の柔らかさは、流通上の障害となるので作る農家は増えず、全国的にも非常に少ないと思います。

* 主力品種は「アスカルビー」に・・・(あすかルビー とも書く)

 そんな「あかね」は、直売・産直等でお客様に喜んでいただけました。しかし、市場出荷が中心の当園にとって、柔らかく傷みやすい「あかね」は、価格で不利になる上、栽培上も手間がかかり、収穫量も伸びないため、経営的に次第に難しくなる一方でした。
 他に市場出荷に耐えられる美味しいイチゴが必要でした。あかね研究会の農家仲間で、奈良県の「アスカルビー」というイチゴを、権利を取得して栽培する事になり、当園でも取り入れる事になりました。アスカルビーは、奈良県農業試験場において,「アスカウェイブ」×「女峰」の交配から生まれた品種です。大粒で色形良く、あかねほど独特ではないけど香りも良好です。甘くて適度な酸味とのバランス良く味が濃くてしっかりしています。実はほどよい柔らかさで食感も良いが、比較的表面が丈夫で傷みにくく日持ちが良いです。
 当初はそれほど美味しいと感じませんでしたが、栽培環境等の条件次第ではかなり味が変化するため、あかねより甘くて美味しくなる事があります。こうした状況から暫く間、70%程度をアスカルビーで占めていました。

* 品種の入れ替え

 どんな品種でも10年を超えた頃から品質が落ちたり収量が減ったりする傾向があるようです。あかねの場合、実が軟らかすぎる故に家族の労力の低下と外部労力の利用の観点から限界を感じ、2009年に三重県生まれの「かおり野」に切り替えました。かおり野は果実が比較的丈夫ながら甘くて風味が良く、収量性も問題ない事が確認できたため、今度は2012年よりアスカルビーの代わりとして、より甘く、日持ちも良い「やよいひめ」を導入する事になった。

イチゴ豆知識

イチゴはいつ頃がおいしいか?

イチゴの味は、とれる時期・天候・樹の栄養状態などにも、左右されます。例えば、夜温の低い冬季、晴天が続き、樹が元気で、栄養過剰でない事。というような条件の時、そのイチゴの持ち味が最も発揮されると思います。夜温が低い場合、暖房機が燃えて炭酸ガスが補給される事も、味に良い影響を与えていると思います。

4月以降の高温期は、糖度はあまり変わりませんが酸味が増してくるので酸っぱく感じられるようになります。逆に、3月頃までの低温期は酸味が低いためにバランス的に甘く感じられます。又、糖度は、特に栄養状態や朝の二酸化炭素濃度に左右されるようです。

従って、12月〜3月で比較的晴天の多い時が美味しい時期だと思います。

イチゴって何の仲間?

イチゴはバラ科の植物です。そう、トゲのあるバラの仲間です。同じバラ科の果物にはリンゴ、桃、梅、ナシなどがあります。

しかし、リンゴなどと違うのは、大きな樹木ではなく野菜のような小型の草本であることです。そのためイチゴは、農学・栽培学上、果樹ではなく野菜に分類されます。

イチゴの原産地

世界のイチゴのルーツは、大きく分けてアメリカ系(堅く酸っぱい)とヨーロッパ系(柔らかく甘い)に分かれます。そして、その原産地が北アメリカ東部と南アメリカ南西部にあったらしく、南アメリカには大きめの実をつける野生種もあってインディオ達が栽培もしていたと言うことです。

大航海時代にこれらがヨーロッパに持ち込まれ、交配されて、現在のようなイチゴが出来上がったようです。

イチゴは実じゃない??
本当のイチゴの実は、表面に着いているツブツブの種の様なものなのです。
皆が食べている果肉の部分は、「果たく」と呼ばれるもので、分かりやすく言う
とトウモロコシの芯みたいなものです(あくまでイメージ的な説明)。芯の周りにトウモロコシの実が着いているみたいに、「果たく」の周りに実(種)が着いています。
しかし、なぜイチゴがこのような形態になっているのかは、私も知りません。
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